雨が降っている。
春の雨とは言え気温は低く、車に乗り込む際にほんの数秒濡れただけと言うのに、小夜は背筋にぞくりと寒気が走るのを感じた。体の震えは傍からも見て取れたのか、運転席の男がやや心配げな視線で小夜を振り返る。
「…すぐに温まります」
そう言って、長い指がヒーターのスイッチをオンにしてくれる。
何も言わなくても自分の事を察してくれる、その心遣いが嬉しかった。
「ありがとう…」
小夜はバッグの中からアイロンのかかった花柄のハンカチを取り出すと、僅かに湿ったスプリングコートをそっと押さえた。
静かな日曜の午後。
買い物帰り。
何気ない日常。
フロントガラスに当たる雨粒がワイパーに消されては、またその数を増す。
繰り返されるそのリズムが心地良い。
深く沈む革張りのシートに身を預けると、途端に瞼が重くなった。
ハジの運転は滑らかで、尚更眠りを誘うのか…一旦眠気を意識するとそれは耐えがたく甘い誘惑を小夜に仕掛けて来る。
彼の言葉通り、車内は既にほんのりと温かい。
一瞬、意識が遠のいた。
信号で車がゆっくりと停止する…その僅かな感覚に我に返って申し訳なく隣を見ると、ハジが苦笑している。
「どうぞ、私に構わず眠って下さい。…マンションに着いたら起こします」
「…でも」
運転手である彼に気を遣って、一応はそう答えるものの…小夜の瞼はもう落ちかかっていた。
 
どうして春はこんなにも眠たいのだろう…。
 
……ハジの隣は、どうしてこんなに安心出来るのだろう…?
 
流れてゆく車窓の景色が揺らぐ。
暮れ掛けた灰色の空、川沿いの桜並木。
薄紅に色付いた桜の枝が雨に濡れていた。
濡れて黒々とした幹と、色付いた蕾のコントラストが春の予感を感じさせる。
もうすぐ、桜の季節がやって来る。
もう数日もすれば、蕾も柔らかく綻んで…その美しい姿を見せてくれるだろう…。
「……ねぇ。ハ…ジ…?」
眠い意識を何とか保って、小夜は話しかけた。
 
…桜が咲いたらお花見に行きたい
 
けれどそう言い終える前に、小夜は心地良く眠りの淵に沈んでいる。
横目でそんな小夜の無防備な寝顔を確かめたハジは、幸せそうにその眼を細めた。
 
 
 
Cherry-blossom
 
 
 
「………寒くはありませんか?」
躊躇いながら、横目でハジが小夜を伺う…。
少し言い難そうなのは、小夜の胸元がいつになく広く開いている事を心配しているらしい。
 
……やっぱり、似合わない…だろうか?
 
小夜は男の腕にしがみ付いた指にぎゅっと力を込めた。
そして僅かに上気してしまう頬を隠す様にして、小さく『大丈夫…』と首を振った。
大きく開いた胸元、繊細なレース…ほっそりと女性らしい体の線を強調したライン、ふわふわと揺れるスカートの裾。
ほんのりと色付いた桜の花弁の様な色合いは小夜の白い肌を一層引き立てていた。
しかし…春らしいシフォンのワンピースはいつもの小夜のらしからぬ…少し大人びたデザインで、その晩…袖を通すのに小夜は少しだけ勇気を必要とした。
 
 
□□□
 
 
大学の新学期はまだ始まらない
今朝、仕事に出掛けるハジの背中を見送った後、小夜はドキドキと高鳴る胸の鼓動をなんとか抑えると自分用に使わせて貰っている客間のクローゼットからその真新しいワンピースを引っ張り出した。
 
小夜は十九になっていた。
一年前、火事でほとんどの衣類を無くして初めての春だった。
春物の衣類はまだそれほど買い揃えてはいない。
只でさえ少ないアルバイト代をやり繰りしていると言うのに…。
小夜は一つ溜息をついた。
どうせなら普段の通学に着回せる便利な物を選べば良かったけれど…昨年はとても選べなかった少し背伸びした女性らしいデザインは勿論年上の恋人を意識したものだった。
しかしまだ一度もハジ本人に見せた事はない。
ずっと外が肌寒かったせいもあるけれど、大学に着て行くにはあまりにも場違いなデザインで…。
本当はハジとのデートに着たくて買ったのだけれど…今更一緒に暮らしていて…。
ハジは相変わらず忙しくしていて、休日に出掛けると言えば最近近所のオープンした大型ショッピングセンターに買い物に出る位で…とてもワンピースを着る様なデートの機会には中々恵まれるものではなかった。
勿論、買い物だって小夜にとってはハジと過ごせる貴重な時間である事に変わりはないけれど、このままではこのワンピースは次の春までクローゼットのこやしになってしまう…。
そんな時、突然にハジが小夜を花見に誘ってくれたのだった。
 
まるであの時の、車の中で言葉に出来なかった小夜の気持ちを察してくれたかのように…ハジが『夜桜を見に行きましょう』…と誘ってくれたのは、本当に突然…当日の朝食のテーブルでの事だった。
あまりに突然で返事も出来ずにいる小夜に『川沿いの桜並木がそろそろ満開だそうですよ…』と、ハジは付け足した。お仕事はどうするの?と言う疑問は素直に小夜の表情に出ていたのだろうか…ハジは小夜が口を開く前に、『安心して下さい』と笑った。
流石に一日休みを取る事は出来ないけれど、何とか都合を付けて早く仕事を上がる手配は済ませてきたらしい。
 
そう言う事なら昨夜の内に言ってくれれば良いのに…。
 
けれど、突然の提案はまるで思いがけないプレゼントの様だった。
 
この機会を逃せば、もう永遠にこのワンピースを着る機会を失ってしまう様な気がして…半ばそんな風に気後れする自分に言い訳をして、小夜は何とかそのワンピースに袖を通した。
自分だって、もう十九歳になったのだ。
もう一年もすれば、ハジと共に外でお酒を飲む事だって出来る。
一年前よりは、余程大人になっている筈だった。
 
待ち合わせの場所に出掛ける前に、もう一度シャワーを浴びて…髪も丁寧にブローした。
いつも通りのメイクでは似合わない様な気がして、いつもよりほんの少し気合を入れた。
仕事帰りのスーツ姿のハジと並んでも、違和感はないだろうか…?
ハジは、小夜の姿を見て…何か、言ってくれるだろうか…。
 
 
□□□
 
 
先日車で通りかかった桜並木はマンションからそれほど離れてはいない。
本当に地元の人間しか知らない様な小さなお花見スポットだった。
住宅地に近い事もあり、よくテレビで中継される様な大きな公園施設が整っている訳ではなく、地元住民がボランティアで守り続けている桜並木だ。
派手なライトアップはないけれど、道沿いの街路灯に明るく浮かび上がる桜は自然の趣でとても美しい。
それが暗い川面に薄らと映り込んで、まるでそこだけ幽玄の世界に迷い込んだような幻想的な世界。
見上げれば、見事に育った大きな桜の木々。
正しく桜色の霞みが掛かった様な、柔らかで儚い花弁。
一つ一つはとても小さくて可愛らしい花なのに、満開のそれはとても艶やかだ。
心の奥の方にある、普段は意識する事のない優しい感情を揺さぶる様に…人々を穏やかに見守っている。
小夜はその美しさに思わず言葉を失っていた。
桜の下をゆっくりと、二人は寄り添って歩く。想像していたような混雑はなく、行き交う人々も近隣の住人なのだろうか…和やかで、酔った客の姿も見かけない。
 
ハジは河原の土手に車を路上駐車すると、良く見知った様子で小夜をエスコートしてくれた。
月が明るい夜で、川沿いに吹く風はハジの言うとおり少し肌寒かった。
ワンピースの上に羽織ったスプリングコートの裾が頼りなく風に揺れる。
寄り添った男の腕に、どこか恐々と腕を絡める。
そっと伸ばした指先に、ハジは応える様に腕を貸した。
言葉も無いのに、ハジはきちんと小夜の事を解かっていてくれる…こんなささやかな仕種だけれど…。
こんな時…どうしていつもこんなに胸がドキドキするのだろう…。
ぐっと傍に寄りそうと、ハジのスーツからは、僅かに煙草の匂いがして…自分とは異質のそれが小夜にはいつしか酷く愛おしく感じられるものになっていた。傍で見上げるハジの横顔は、相変わらず整っていて…じっと見詰めるとその僅かな気配にも優しく小夜に視線を向けてくれる。
 
こんな時、何て言葉をかけたら良いのだろう?
自分の心の内の全てを、どうして伝える事が出来るの?
見詰められると、胸の底から温かい思いが込み上げてくる。
本当は、それはもう穏やかに『温かい』なんていていられるほど生温いものではないのに…。
 
じっと黙りこむと、ハジはそんな小夜の心の動きに敏感で…その眼差しには途端に気遣わしげな気配が混じった。
「…今日は、随分大人しいのですね。…桜はつまらないですか?それとも、もっと賑やかな場所が良かったでしょうか?…ここは屋台も出ませんから。本当は期待していたのでしょう?」
「ううん!そんな事無い…凄く…綺麗…」
小夜は本心でそう答えていた。
 
 
『いつか結婚して下さい…』
ハジがそんな風に小夜に告げたのは、もう昨年の十二月の事で…あれからの数カ月、小夜はその言葉にまともな返事を返してはいなかった。
ハジもまた、まだ学生である小夜を気遣ってか…それ以上小夜を問い詰める様な真似も、返事を強要する様な事も無かった。
けれど、それは夢ではなく現実なのだ…。
 
抑えきれないハジへの想いと、プロポーズという現実と…。
傍目に考えれば、何の不満も無くプロポーズに『よろしくお願いします』と答えるだけなのに…。
 
「小夜…?」
「……凄く綺麗。……桜も、……ハジも…」
こんなに綺麗な男の人が、自分の事をこんなにも大切にしてくれるなんて…。
ぼんやりとそんな事を呟く少女に、ハジは少し困惑した様子で…けれどそっと視線を緩めると大きく小夜に向き直った。
「…綺麗は男に使う誉め言葉ではありませんよ…」
「ごめんなさい。でも、ハジは本当に綺麗…」
「……どうしたのですか?今夜はやけに大人しい…と思えば…。…急にそんな事を…」
「…だって」
ハジの指が夜風に乱れた小夜の前髪をそっと整えてくれる。
大人っぽくなりたいと思った。
正確には、『大人っぽく』ではなく…早くハジの隣に並んでもおかしくない様な大人の女性になりたいと…。
けれど、本当はこんなワンピースを着てみたところで、自分は何も変わらないのだと小夜は自分で気付いている。一生懸命お化粧をして…お洒落をして…どんなに頑張ってみても…。
それが無性に悲しくて…幸せな筈なのに泣きたい様な気分になった。
「……綺麗と言うのなら、小夜の方が余程…綺麗ですよ」
「…嘘。こんなワンピース全然似合わない…。お化粧したって…私…」
ハジの大きな掌がよしよしと宥める様に何度も小夜の髪を撫でた。
その労わりの仕種が嬉しくもあり、どこか子供扱いされている様な気がして…。
けれどハジはそんな小夜の気持ちを察している様に、唇を尖らせた小夜を覗き込んだ。
「今夜はやけに疑い深いのですね。…今夜はやけに雰囲気が違うので、ずっと私が戸惑っていた事に気付いていないのですか?」
「………………」
ハジは、本気でそんな事を思っているのだろうか?
「小夜…。………信用していない表情ですね?」
小さな笑いが混じるハジの問いに、小夜は俯いて…困った様に頷いたのだった。
 
「…もう少し桜を見たら、食事に行きましょう。…お礼に小夜の好きなものを食べましょう?」
隣を歩くハジがじっと黙り込んでしまった小夜を元気づける様に提案した。
確かにもうそろそろお腹もすいてくる頃だけれど…。
「…お礼?」
仕事に都合を付けてまで、お花見に連れて来て貰ったのは自分の方なのに?
小夜が問い返すと、ハジはどこか懐かしい視線を桜に投げて…
「今年は小夜のお陰で、満開の桜を見に来る事が出来ましたから…」
「………お花見は久しぶりなの?」
「…ええ。この桜並木には少し思い出があって、満開の桜を一人で見上げるのは少し侘しかったものですから」
 
ハジの…桜の…思い出?
 
普段、ハジは進んで自分の過去や家族の話をする事が無い。
普通、恋人として付き合っているのならば、…いや恋人でなくともそれなりに親しくしていれば…時にはそれぞれに子供の頃や学生時代の思い出が話題に上っても不思議ではないのに、ハジはいつもただ小夜の話を静かに聞いてくれるばかりだった。
元々口数が多い人ではないけれど…。
それでも、何か話したくない理由でもあるのだろうかと小夜は内心気に掛けていたのだ。
 
「…ねえ、聞いても良い?」
無意識に甘える様な視線でハジを見上げると、ハジは『大して面白い話ではありませんよ』と小夜に断った。
 
「…昔、まだ私が中学生の頃、一度だけこの桜を見に来た事があって…」
「ハジが、中学生?」
あまりにも想像がつかなくて、目を丸くする小夜にハジは苦笑した。
「私も昔からこんなだった訳ではありませんよ…」
「だって…。ごめんなさい…」
小夜は素直に謝罪して、ハジの話の腰を折ってしまった事を反省した。
想像もつかない…まだ少年のハジ…。
クォーターだと言うから、小夜はてっきり…ハジは海外で育ったのだと想像していた。
今の彼からは、見た事のない少年のハジが上手くイメージ出来ない。
「…祖母と見に来たのです。二人で出掛けるのはそれが最後になってしまいました…」
「………おばあさん?」
ハジの口から初めて家族の存在を知らされる。
けれど、それが最後になってしまったと言う事は……。
小夜の表情が見る間に曇るのを心配して、ハジが小夜の肩を抱き寄せる様にして覗き込んでくる。
ハジの表情が『止めますか?』と問い掛けていた。
けれど、小夜は小さく首を振った。
どんな些細な事でもハジの事を知りたい気持ちは変わらない…、いや悲しい出来事だと言うのなら尚更教えて欲しいと思った。
ハジは言葉を選ぶように、ゆっくりと続けた。
「…その日はやはり桜が満開で、小さな祖母の手を引きながら…何気ない学校での出来事や友人の話を聞かせて歩きました。本当に何気ない一日だったのです…」
「…うん。ハジ、おばあさんの手を引いて歩いてあげるなんて、昔から優しかったんだね…」
中学生と言えば、ちょうど難しい年頃だと思う…。
なかなか自分のおばあさんの手を引いて散歩に付き合うなんて、中学生の男の子には珍しいのではないだろうか…。
「…けれど、その日の晩に祖母が倒れて…。私はたった一人の家族を失ったのです。年齢も年齢だったので、そう言うタイミングだったのだと、今なら割り切れますが…」
「………………」
「病院に搬送される救急車のカーテンの隙間から、昼間見たこの桜の姿がちらりと見えて…。それがこの桜並木の桜の花を見た最後です」
「………………。……辛い事、思い出させちゃったね…」
「……昔の話ですし」
今にも泣き出しそうな小夜とは対照的に、ハジは冷静なままだ。
「………ねえ、お父さんとお母さんはいなかったの?」
聞いても良いだろうか?…そんな躊躇いを滲ませて、それでも小夜は聞かずに居られなかった。
「……ええ、両親はその時既に他界していました。私はフランスで生まれて…ハーフの父とフランス人の母は…私がまだ小さい頃に事故で亡くなったそうです…。私は顔も覚えていませんし、身寄りもなくてずっと施設で育ったのです。……十三歳の時に、日本に祖母がいる事が解かって…引き取ってくれると言うのでフランスから日本に来ました」
「……………」
事故で両親が他界していると言うのは、小夜も同じ境遇だ。
けれど、小夜には家族が居て…ハジが施設で育ったと言う事など想像もしていなくて…。
「少し事情が複雑なのですよ…ですから、小夜にも話すきっかけが掴めなくて…」
『ずっと黙っていてすみません』と謝罪する男の表情がこの時だけ僅かに曇る。
「……ううん。気にしてないよ…」
「施設で育った男では、駄目でしょうか?」
「…そんな事!!」
ある筈がない。
自分だって実の両親の顔は覚えていない。
それに…ハジはそんな事で、自分が彼の事を嫌うとでも思っていたのだろうか…。
だとしたら、それはとんでもない事だ。
小夜は目の前のこの男を、苦しくなる位愛していると言うのに…。
小夜はハジのスーツの胸にぎゅぅとしがみ付いた。
「…ねえ、じゃあ、ハジはこの近所に住んでたの?」
話を逸らす様に、小夜は問い掛けた。
「ええ。…短い期間でしたが…この近くに祖母の家があって…多分今は駐車場かマンションになっていると思います」
人目を気にしてか、ハジの腕がやんわりと小夜の体を引き離した。
擦れ違う人々の姿に小夜は我に返って、ほんのりと頬を染めた。
人前で、しかも自分からこんな風に抱きついてしまったのは初めての事だ。
恥かしくて小夜が俯いていると、擦れ違う数人のグループの中の一人が驚いた様に立ち止った。
立ち止った年配の女性はじっとハジの顔を観察すると、
「…あなた!…もしかして……ハジ君?」
と、裏返った様な声を上げた。
ハジもまた、驚いた様にその歩みを止めた。
「………………はあ。…あの…」
「まあ、良い男になっちゃって…!!幾つになったの?…ここにいた頃はまだ学生服の中学生だったわねえ…」
大袈裟に驚いて見せて、馴れ馴れしく伸ばした手で…しかしハジの肩には届かず二の腕の辺りをぽんぽんと叩いた。
ハジもその女性の事を思い出した様子で小さく会釈した。
「…ご無沙汰しております。…その節は…」
「まあまあ、良いじゃないの。堅苦しい挨拶は…あれから何年になるのかしら?」
ハジは少しだけ考える様に間をあけた。
そして短く、
「十四年になります…」
と、答えた。
全く話の筋が見えない小夜は、ただぼんやりと十四年前…ここに住んでいた頃の知人なのだろう…と言う事しか解からない。
「あの時は、財産目当てだ何だって…色々と大変だったと思うけど…。立派な社会人になって…今は幸せそうね…」
女性は『私は全部わかっているから』…と言う様な表情で頷いた。そしてハジの背中に隠れる様にして立つ小夜にちらりと視線を投げてよこす。
「いえ、もう…その事は。全て済んだ事ですから…」
ハジは小夜を気遣う様に言葉を濁し、小夜は慌ててぺこりと頭を下げて、再びハジの後ろに隠れた。
十四年前と言えば、逆算すればハジは中学三年生だった筈だ。
そして彼女の『今は幸せそう…』と言う表現に、当時ハジが幸せではなかったのだという漠然としたイメージを抱いた。
たった一人の家族を失って幸せな筈はない。
それは解かるけれど…。
 
財産目当て…?
 
「可愛いお嬢さんね…。結婚されるの?きっと亡くなったおばあさまも喜んでいらっしゃるわ…」
空気を読む事のなく話し続ける女性にハジは少し困った様に曖昧に頷いて…、適当にあしらうと小夜の肩を抱き寄せて足早にその場を後にしたのだった。
 
 
□□□
 
 
戻った車内で、小夜はハジにどうそれを聞いて良いものか戸惑っていた。
滑らかに走り出した車内で、ハジもまた黙っている。
彼もまた、今の出来事を小夜にどう話して良いのか…躊躇っている様子が伺い知れた。
真っ直ぐに前を見る男の横顔が、酷く愛おしい。
 
ハジは何もかも、もう全てを清算した様な表情で『済んだ事』と言っていたけれど…本当にそうなのだろうか?
大切な人に、何があったのか…知りたいと思うのはいけない事なのだろうか?
もう一年にもなるのに…。
ハジと知り合って、こうして一緒に暮らし始めて一年にもなるのに…。
自分はハジの事を何も知らされてはいなくて、ただ彼に守って貰うばかりで…。
 
切なくて、小夜は膝の上でぎゅっときつくシフォンのスカートを握り締めた。
いけないと思うのに、じんわりと睫毛に涙が溜まってゆく。
すると、前を向いているハジが左手でスーツのポケットからハンカチを取り出して、小夜に差し出した。
「色々と…驚かせてしまいましたね?……まさか十四年も経って自分を知っている人に偶然出会うとは思っていなかったので…。彼女は、当時お隣に住んでいて…色々とお世話になったのです」
ハジはじっと前を見詰めたままだ。
小夜は素直にそれを受け取ると、小さく首を振ってハンカチを瞼に押し当てた。
「…ごめんなさい」
「泣かないで。……何も小夜が泣く様な事はないのですよ。本当に…。全ては済んだ事で…私はもう一人で生きて行ける年齢ですから」
 
一人で…生きて行ける?
 
その言葉に、言葉以上の意味がない事は解かっているのに…こうして自分が隣にいるのに『一人で生きて行ける』だなんて言葉を聞くと、小夜は酷く寂しい気持ちになっていた。
 
教えて欲しい。
隠していないのなら、全て…自分に話して欲しい。
全て話して…。
 
…………例えそれが大して意味を持たない言葉の綾だとしても…
……もう、一人で生きて行ける…なんて言わないで…。
 
 
……………私…。
 
 
「ねえ、ハジ…。…何があったのか、聞いても良い?」
思い詰めた小夜の表情に、ハジは少し困った様に…静かに頷いたのだった。
 
 
□□□
 
 
外での夕食を済ませ、部屋に戻ると…ハジは少し疲れた様な様子でベッドに腰を下ろした。
 
「今の世の中では国際結婚も珍しくはありませんが、当時の二人にとって…それは大きな障害だったのだそうですよ…」
スーツを脱いで、ベッドの端に腰かけたハジは片手でネクタイを緩めながらそう切り出した。
小夜はまだ柔らかなワンピースを纏ったまま、ちょこんとその隣に腰掛ける。
ハジの言う『二人』と言うのが、彼の祖父母の事だと理解するまでほんの少し時間がかかった。
当時…と言うのは、いつ頃の事だろうか…亡くなったハジのおばあさんが娘の頃と言うのなら戦中戦後の頃だろうか…。
ハジはゆっくりと語り始めた。
今まで聞かされる事のなかった彼自身の生い立ち。
小夜はきゅっと唇を噛んで覚悟を決めた様に頷いた。
 
 
ハジが物心ついた時、既に両親はなかった。
親のいない子供を保護する養護施設で育った事を特に不幸だと感じた事はなく、ハジにとってはそれが当たり前の生活だった。
両親の顔も覚えていない。
けれど幸いにも…生前ハジの両親とその養護施設の院長との間に親交があったお陰で、何かと目に掛けてくれた。特に不自由を感じる事はなかったけれど、それは多分自分の育った世界しか知らなかったからなのだろう。
 
そんなハジの人生が変わったのは、彼が十三歳になった時だった。
日本の老婦人が昔の恋人と息子を探していると言う。
なんでも若い頃、来日していたフランス人の男と駆け落ちして男の子を一人儲けたが、周囲に引き離されて相手の男とも、自らの産んだ息子とも離れ離れになってしまったというのだ。
その後、無理やり別の相手と結婚させられた女性は、想いを残したままずっとその事を気に掛けていた。とは言え…せめて息子を探し出そうにも、結婚した相手に申し訳なく…またその手段も無く、ずっと心に秘めていたのだと…。それは叶う事のない願いだと、半ば諦めかけていた時…伴侶に先立たれた事をきっかけに…これが最後のチャンスだと女性は願いを行動に移した。
そして数少ない手がかりを頼りに漸く辿り着いたのが、ハジの父であると言うのだ。
しかし既に祖父も父も他界しており…勿論、ハジ自身そんな話は一言も聞いてはいない。
祖父も父もハジにとっては見知らぬ他人と同じだ。
世間で言う様な家族など、自分は今まで一度として経験した事はなかったし欲しいと思った事も無い。
それが確かな話なのかどうかも疑わしかったけれど、しかし血の繋がった家族と言う言葉の持つどこか優しい響きにほんの少しだけハジの心が揺れたのも事実で、遠い異国にいる孫に一目会いたいと願う老婦人の願いを無下にするのは心無い事のようにも思えた。
 
「…それで、日本に?」
覗き込んでくる小夜にハジは微かに笑った。
「………ええ。でもそれは、簡単な事ではありませんでした。祖母にはいくらかの財産がありましたから、突然に青い目の孫が現れれば心穏やかでない親族もいるものです。自分の取り分が減ってしまうと思ったのでしょう…」
小夜の中で、あの女性の言葉が蘇る。
 
…それで、財産目当て…?
 
「……………」
ハジの長い腕がそっと小夜の肩を抱き寄せた。
「私の知らないところで色々と揉めた様ですが、結局はDNA鑑定までして血縁を確かめて…日本に来たのはそれから一年ほど後の事です。それでも…私は一緒に暮らすつもりなどありませんでしたよ。祖父も父ももういないのだと言う事を伝えて、顔を見せたらそれでまた施設に戻るつもりだったのです。しかし、引き取ると言う血縁者が現れれば、もう元の生活には戻れなかったと言うのが実情で…」
「…………?」
「それに、短い期間でしたが実際に会って、一緒に暮らして…確かに少し情が沸いたと言う事もあります。当時祖母は一人暮らしでしたし、親族はいましたがどうやら父の他に子供には恵まれなかったようで…とても孤独な暮らしをしていました」
「…うん」
「………日本語を覚えるまで言葉の不便はありましたが、それからの二年弱はとても静かで穏やかな毎日でした。あの人は…祖母は十四にもなる私を随分子供扱いするので…」
小夜の脳裏に、不思議と見た事も無い少年のハジと年老いたその祖母とのやりとりが見えた様な気がした。
「ねえ、でも…十四歳はまだ子供、だよ!」
「……そうですね。私は随分と扱い難い可愛げのない子供だったと思います」
ハジがそっと微笑んで、気遣わしげに小夜を覗き込んでいる。
小夜もまた、ハジを気遣う様にそっと笑って見せた。
 
扱い難い…可愛げのない子供…
 
…………ハジが?
 
本当に?
 
子供は誰だって、親に無償の愛情を注がれ守られて…甘えて、安心して育つべきものだと言うのに…。
誰だって、それが当たり前だと思っていた。
小夜には両親はいないけれど、それでも大切に可愛がってくれた父も兄も弟もいて…。
それが当たり前だと思っていたのに…。
ハジにはずっと、生まれた時から…甘えられる相手が傍にいてくれた事がなくて…。
 
だからきっと…。
それはハジが悪いのではなくて…。
物心ついた時からきっと…ハジはずっと小夜よりも大人だったのだろう…。
 
そんな風に一人で日本にやってきたハジにとって、突然におばあさんを亡くしてしまったら…。
込み入った難しい事情は解からないけれど…、きっとその遺産の事で…まだ中学生だったハジは…沢山の辛い思いをしただろうと言う事は小夜にも想像がついた。
あの女性が言っていた様に…あからさまに財産目当てと罵られたのかも知れない。
 
ハジがそんな人でない事は、小夜には良く解かる。
良く解かり過ぎて…。
叶う事なら、今すぐに自分が過去のその場面に戻って…どんなにでもして…中学生の彼を守ってあげたかった。
出来る筈も無いそんなやるせない空想が支配する位…小夜は無性に悲しくて、覗き込む男の首筋に指を差し伸べると、細い腕を絡めぐいと傍に引き寄せた。
「…小夜?」
不思議そうなハジと間近で視線が絡んで…いつもならこのまま唇を合わせてもおかしくはない距離なのに、小夜はそうする事も出来ないまま、ぎゅっとハジの事を抱き締めた。
「…………小夜?」
「…………………」
こんな時、どんな言葉を選んだらいいのだろう?
 
愛してる?
 
そんな言葉で、今の気持ち全てが伝わる筈なんてない。
 
小夜は無言のまま、抱き寄せる腕に力を込めた。
どれ位そうしていたのか…。
小夜に身を任せていたハジが僅かに身を捩って、小夜を覗きこんだ。
声も無いまま…いつしか小夜の瞳からは大粒の涙が零れていて…、ハジは半ばそれを予想していたのか…小さな吐息を吐いた。
「……小夜が涙脆い事は充分に解かっていましたから…」
 
だからずっと話すきっかけを見付けられなかったというの?
 
大きな手が、いつもの様にそっと労わってくれる。
小夜の髪を何度も何度も繰り返し撫でて…その広い胸に押し抱いてくれる。
「…小夜が泣く様な事は何一つありませんよ…。全部済んだ事だと何度も言っているでしょう?」
「……だって。…だって…ハジ…」
愛おしげに小夜を覗きこんでくれるその綺麗な青い瞳の奥に、そんな過去が隠れていたなんて…小夜は想像した事も無くて…、小夜には今の気持ちを言葉にする事は出来なかった。
大きな掌が、しゃくり上げる背中を優しく宥めてくれる。
「………だって。……ハジ」
「…それに…小夜…?…今こうして貴女がこの腕の中に居てくれるだけで…私はこれまでの人生を全て肯定する事が出来るのですよ…」
「……………………ハジ」
「……貴女が居てくれるから、今年はあの桜を見に行こうと言う気持ちになれたのです」
「…………………」
「…私は、充分に幸せですよ。祖母にも、そう報告しました…」
「…………そんな風に言わないで。……狡い…ハジ」
そんな風に言われたら、小夜にはもう言葉を返す事は出来なくなってしまう。
ただぎゅっと、ハジの首筋に抱きついた。
「小夜。…本当にもう全て終わった事なのですよ…。確かに色々ありましたが…、相続の件も後腐れない様に話がついています…もう、大丈夫です。貴女が不安になる様な事は何一つありません」
泣かせてしまった事を詫びる様に、ハジは小夜の額に一つ口付けを落とした。
昼間、支度をする時に念入りにブローした髪を丁寧に指先で整えて…まるで小さな子供の気を逸らす様に、ハジが話しかける。
「……いつもと雰囲気が違いますが…、このワンピースも良く似合っていますよ」
「………………嘘」
「……どうしてそう私の言う事を信用しないのですか?」
「……………信用、できないもん…」
と、同時に小夜を抱く腕の力が一層強くなる。
「……信用して下さい」
静かで穏やかな、大人の表情で…ハジは微笑んだ。
敵う筈も無い…自分がどんなに努力したって…どんなに大人っぽいワンピースを着たって…ハジの様にはなれる筈も無いと、小夜はきゅっと唇を噛んだ。
そんな小夜の気持ちを知ったって…ハジはきっと『今のままの小夜で良い』と言うのだろう…。
 
自分はどうすればいいのだろう…。
小夜がハジの為にしてあげられる事…。
 
 
「…あ。………ええと。ハジ…あの、…あのね、来年もあの桜並木を見に行こう?…ううん、来年だけじゃなくて、その次の年も…その次も…ずっと」
 
…ずっと、私…ハジの傍に居るから…
 
 
考えるより早く、小夜はそう口走っていた。
抱き締められる腕の中で、身を捩る様に男に向き直って…。
けれど、最後の一言は…気恥かしくて言葉に出来なかった。
 
ハジが一瞬息を飲む、僅かな緊張。
そして次の瞬間、止まった空気が動き出し…ハジの小夜を抱く腕の力が一層強くなる。
ゆっくりと下りて来る口付けを、小夜は薄らと瞼を閉じて受け止めた。
 
「ありがとうございます…」
間近でハジがそう囁いた。
小夜が、このままベッドに沈むのか…と、内心ドキドキしながら体を固くすると、思いがけずハジの腕の拘束が解かれる。
小夜はきょとんと大きな瞳を見開いた。ハジは何やら傍らのスーツのポケットを探っている。
そして小夜の前に小さな小箱を差し出した。
「小夜…。本当は先月誕生日だったのでしょう?…十九歳、おめでとうございます」
「………………ちょっと待って」
 
………どうして解かるの?
ハジの事だから、また何か自分に買ってくれようとするのが目に見えて、敢えて誕生日の事は話題にしない様にして隠していたというのに…。もしかして…学生証を、見られたの?
 
「…来年の誕生日までに、きちんと日付まで教えて下さいね」
 
納得のいかないまま、それでも小夜は『ありがとう』と素直にその小箱を受け取った。
 
箱の天辺で結ばれた赤いリボンをそっと解くと、中からは古めかしい黒いビロードに覆われたアクセサリーケースが現れた。中を開くと、小夜の目にも一目で高価なものだと言う事が解かる大きな一粒のダイヤモンド。
開いたケースを手にしたまま固まる小夜の手元から、ハジはそのダイヤを取り上げた。
ハジの指先から細いプラチナの鎖が垂れる。
シンプルなデザインの、ダイヤのネックレスだった。繊細で眩い輝きを放つ大きなダイヤモンドを六本の立爪がしっかりと支えている。
「…こう言う大きく胸のあいたデザインなら、良く似合うと思いますよ。何にでも合わせられる様にシンプルに仕上げて貰ったのですが…」
「……………」
ハジがそっと小夜の後ろ髪をまとめ、腕を回してそれを付けてくれる。そして小夜の細い首筋にそれが輝くのを満足そうに見詰めた。
「…ねえ、ちょっと待って!これ…凄く高いものでしょう?」
エンゲージリングにしてもおかしくはない…。いや…小夜の見るファッション雑誌の広告で見知っている限り、エンゲージリングとしても中々お目にかかれないかなり大きな石だ。きっと何十万…では済まされない。
これだけ大きな石なら、デザインに凝る必要など無い。一粒の存在感が違う…。
繊細な輝きを放つダイヤモンドを、六本の立爪がしっかりと支えている。
首に伝わる微かな石の重みが、ずしりと感じられた。
とても大学生の誕生日プレゼントとは思えない大きさのダイヤに、ハジは平然と答えた。
「宝石の事は良く解かりません。ただこれは買ったものではなくて、祖母の形見の品の一つで…元々は指輪だったのですが、ネックレスにした方が今の小夜には重宝するだろうと思いましたので…リフォームしました。鎖代は知れていますから…気にする程ではありませんよ。それとも、やはり指輪の方が良かったでしょうか?」
しかしそれは、もっと大切な時に取っておきたいのです…と笑う。
どこかふざけた様な言葉に、小夜は声を上げた。
「…そう言う問題じゃなくて!それに、そんな大事なもの…」
形見の品だなんて…。
それに鎖だってプラチナなのだから馬鹿にならない値段の筈だ…。
「…ダイヤなんて…私が持っていても、価値がありませんし…。折角あるなら引き出しに仕舞っておくよりも、小夜が使ってくれた方が有意義で、祖母も喜びます」
「こんなの…貰えないよ…」
「では、私の気が済むまで…預かって下さい。それで良いでしょう?」
青い瞳がぐっと間近にあって、小夜を覗きこむ…と、同時にハジの指先が小夜の首筋にそっと触れた。
その後を追う様に、形の良い唇が白い首筋に押し当てられて…小夜はぞくりと背筋が震えるのを自覚した。
「……狡い!!…こんなの狡いよ!!…ハジ」
「狡いでも、卑怯でも………何とでも…言って下さい」
ハジの唇が、小夜の頬に残る涙の跡を柔らかく吸った。
今度こそ、本当に体がふわりと揺れて…背中にハジの腕の感触を覚えると同時に、小夜の体はスプリングの利いたベッドの上に倒れ込んでいた。
強く抱き締められる。
鎖骨を辿る様に…大きく開いたワンピースの襟元にハジの指先が掛かる。
柔らかな生地とブラジャーのストラップをするりと肩から下ろして、ハジはとても小夜には真似できない余裕の笑みを覗かせた。
「……泣かれるよりも、その方がずっと良いですから…」
「……………………ん、…っあ。…や…っ…待って」
抵抗を示してみるものの、敵う筈もない。
「……待てません」
柔らかな胸元に顔を埋めるハジが律義にそう答えた。
「…だって。こんなの…」
ハジはどんな時だってこうして抱き締めてしまえば、小夜が抵抗できない事を知っていて…。それに、こんなに高価なものを、こんな風に…。預かって下さい…なんて言われても、それはつまり小夜にくれると言う事に他ならない。もっと対等で居たいと願うのに…ハジはそんな小夜の気持ちを解かってくれているのだろうか…。いくら自分が世間知らずな子供だと言っても…
「…だ…め…。……はぐらかさないで…、ハジ…」
流されそうになりながら小夜が懸命に訴えると…さっさと小夜の襟元を寛げて淡く色付いた先端に舌を這わせていた男がゆっくりと顔をあげた。
その澄んだ青い瞳の色は、思いがけなく真摯に深い憂いを湛えていて…。
小夜は、思わず言葉を失う。
「大切にして下さい…。一生ものですから…」

来年も、その次の年も…ずっと傍に居てくれるのでしょう?
ハジは、小夜の言葉に出来なかった一言をさらりと小夜の耳元に囁いて…
「………は、……は…ぃ」
それが、首筋に光る大きな石の事なのか…それとも今こうして小夜を包む温もりの事なのか…定かではないままに、小夜は男の腕の中で小さく頷いていた。

 
                            ≪了≫

20100412
もう桜も散り始めて久しいのですが漸く何とかアプにこぎつけました。
何故こんな話になってしまったんだろう?
自分でも反省しきりです。色々と書きたいな…と思う事が絞り切れなかったというのが一番の敗因ではないかと思います。
欲張っちゃった…呆。ハジの設定は、もう最初から作ってあったので、今ここにきて急に考えた訳ではなく…今まで書いておきたいと思いつつ機会に恵まれませんでした。
以下アバウト過ぎる設定…。
彼はフランス4分の3、日本4分の1のクォーターと言う設定です。
そして施設育ち…。だってあんまり彼に家族って言うイメージが無くって…。
14歳の時に日本に来て、15歳でおばあさんが亡くなっているという設定…。
幾らハジがエリートで高収入だとしても、自分の稼ぎのみで都心に3LDK(と言う設定なのです)のマンションを賃貸ではなく持っているなんて、無理でしょう…と思われ…。
ハジのおばあさんと言う人は、多分凄い資産家だったようです…。と言う訳で、ダイヤモンド…本当は真珠のネックレスにしようかとも思ったんですけど、女子大生の小夜たんにはダイヤモンドのネックレスの方が使い勝手が良くて、普段に身に付けられるだろうと思って…。
どれ位の大きさかと言う事は、秘めておきますね…。お値段とかも…。
そう言えば、私も初めてのダイヤモンドを貰ったのは、大学生くらいの時でネックレスだったなあ〜。
でも、別に好きな男から貰った訳じゃなくて、叔母のお下がりだったけど…(残念)
最初は単に夜桜を見に行く話だった筈なんですが…。ハジはもう、小夜たんにべた惚れなので、財布のひもはもう存在しないと言うか…狡いな…。自覚はハジにもあると思いますが…。
まあ、色々と反省をして、また次に生かします〜。
まとまりのない話になってしまった…。
それではここまで読んで下さいまして本当にどうもありがとうございました!!