どくん、・・・どくん、どくん・・・

千切れ、潰れた肉片が、どくんどくんと脈を打ち再生を始める。

一度は完全に生命活動を停めた細胞が、再び命を吹き返す。

 

早く・・・、早く・・・

 

胸の奥に巣食う獣がゆっくりと首を擡げ、喉の奥から咆哮する。

 

小夜・・・

 

それが、シュバリエの本能だからなのか・・・。

全身を貫く痛みに耐え、死の淵から何度も甦る。

主の為に?

・・・違う、それは己の為に・・・

 

小夜・・・

 

混濁した意識の中で、次第に想いが増していく・・・

早く・・・行かなくては・・・

小夜・・・

あの、守られるべき無垢な少女の魂を・・・

渡してはいけない

 

ハジは、重い体を引き摺る様にして、瓦礫の下からその身を翻した。

頭上から崩れてきた岩に押し潰された体は、まだ完全には言う事を聞かなかった。

それでも、行かなくてはならない。

今の小夜にはあまりにも真実は重く、あのソロモンと名乗る男の言葉は棘のように甘くて、

彼女の心は混乱し、惑うだろう。

頷いてしまえば、彼女の願いは永遠に失われてしまう・・・。

彼女自身、思い出す事が出来ずにいるその願いを叶える為に、自分はこの永遠とも思える

長い時を、じっと彼女の目覚めだけを待って生きてきたのだ。

行かなければ・・・

 

どくん・・・

熱い血が、全身に巡り始めるのが解る。

四肢の末端まで、神経が行き渡り始める。

胸の奥にちりちりと燃える焔が、全身に広がっていく。

小夜・・・

彼女を、あの男に渡してはいけない。



20060331
なんじゃこりゃ。・・・自分は気に入っているけれど、果たしてこれは小説と呼べる代物なのか・・・?
作品と言うより、私の覚書っぽい。超SS
いつも無口な彼ですが、なんか色々考えてるだろうなあ〜と思ってるうちに、こんなものを書いてました。
また、これを元にもう少し長めの話を書きたいです。

早くきちんとした形にしたいような。もう少し時間をかけたいような・・・。