タイトルなんてありません。
単なるエロ連載です。
<3>
20071026


「…ん…ふ…」
「小夜…」
美しい声が耳元で小夜の名前を囁き、器用な指がその柔らかな感触を楽しむかのように…丁寧に花弁を辿り、その甘い蜜を絡める様に蠢いている。
「っ…ん、ん…、ん…あ…はあ…ああ…ン…」
顔から火が出る程恥ずかしいのに、それでも小夜の体はハジの与える愛撫に応え、しとどに蜜を零し続けている。男の指が蠢く度にくちゅくちゅと耳に届く粘質の水音がそれを証明していた。耳を塞いでしまいたい。
濡れた絹の感触が居心地悪く、早く脱がせて欲しいと思う反面、この明るい場所でハジの前に全てを晒す事に躊躇いを感じた。けれど、心のどこかで今更…とも思う。
既にハジは小夜の身も心も全てを知り尽くしているのだから…。
全てを晒して乱れてしまえたら良い。
ここが何処かだとか、今がどんな状況かなど、いっそ全てを忘れてしまえたら…
崩れそうな体を男の背にしがみ付く事で耐え、ぎゅっと強く瞼を閉じた。
すぐ耳元にハジの息遣いを感じる。
彼の息遣いもまた荒いものへと変わりつつある。
ふいに胸元をまさぐっていた手が離れた。
それはそのまま小夜の膝裏を掴むと大きく広がるようにして片足を持ち上げた。
「小夜…」
しがみ付く腕を解かれ、小夜はそのまま後ろ手を着いてその姿勢に耐えた。
「…ハジ」
あられもなく捲られたドレスから美しい両足が露に晒される。
ドレスの色とコーディネートされた薔薇のレースがふんだんにあしらわれたガーターベルト。お揃いのストッキングは普段ならば履く事もない凝った網の目の模様で、やはり幅の広い薔薇のレースで縁取られていた。慣れないピンヒールのパンプスの爪先に…、そのエナメルの美しい表面に照明の明かりが反射して小夜の視界に入る。
それはどこか艶かしい女の足で、男の腰を挟み込むようにして広げられたそれは、まるで自分のものとは思えなかった。
「ハジ…」
「…とても、綺麗ですよ。…小夜…」
捲り上げたドレスが邪魔をして、小夜の視界には入らないけれど、ハジの視線の位置からは濡れた下着の染みまでが見えている筈だった。
そう思考が働くと、途端に現実に引き戻される。
「…っいや、ハジ…」
「…小夜」
ハジの指が小夜の下着に触れる。サイドで結ばれたリボンをそっと解き、彼はその小さな頼りない鎧を取り払った。
もう視線を遮るものは存在しない。
小夜は咄嗟に両足を閉じようと力を込め、その部位を隠そうと片手を伸ばした。けれど、元よりハジの腰がその足の動きを阻み、伸ばした腕さえもハジに捉えられる。
「…ハジ」
「隠さないで…」
ハジは捉えた腕を優しく解放した。
「恥ずかしいなどと…思わないで。小夜…」
「…ハジ」
ハジはゆっくりと跪いた。
「私を…欲しいと思って下さるならば…。全てを見せて…」
そうして、出来るだけ驚かさないように、そっと小夜の股間に顔を寄せる。
「っやん…。ハジ…」
静かに小夜の淡い茂みに唇を寄せ、舌先で襞をなぞり、小夜の零した蜜を舐め取るようにそれは繊細に蠢く。けれど、ハジが舌を這わせれば這わせる分、小夜の泉は枯れる事を忘れてしまったかのように、甘い蜜を溢れさせた。
「や…ハジ。お願い…。んん、あっ…ああ…っ」
もう、拒絶しているのかも、強請っているのかも判らない。そして舌先のもどかしい程優しい愛撫に小夜の体は焦らされる。
頭の芯がぼうっと熱を孕んで、何も考えられなくなってゆく。
ハジの両手に太股を押さえ込まれ両足を閉じる事も叶わないまま、小夜はきつく閉じた瞼の裏に皓々と明るい照明を感じた。
けれどそれすらももう、小夜の思考の外側へ追いやられようとしていた。
「小夜…もっと感じて…」
口付けの狭間にハジが告げる。
「ハジッ!」
一瞬の間をあけて、ハジの舌先が小夜の敏感な先端な蕾を探った。花弁を指で押し広げるようにして舐め上げられると、雷に打たれたような刺激が小夜の背筋を走り抜けた。
「ああ…ん、やぁ……ハジ」
苦痛にも似たその刺激に耐え切れず、小夜の体が後ろに倒れ込みそうになると、ハジは漸くその顔を上げた。ぎゅっと閉じていた瞳から涙が溢れそうになる。濡れて歪んだ視界の向こうで、ハジが少し困ったような表情を覗かせた。
「小夜…」
ハジもまた小夜の名前を呼ぶと切なげに眉を寄せ、無造作にタキシードのジャケットを脱いで脇に投げ捨て、幾分荒々しい仕草で胸元の蝶ネクタイごと白いスタンドカラーを緩めた。
「ハジ…、こんなの、も…辛いの。…お願い…」
小夜の体の中心が甘く熟れてどくどくと脈打ち、疼いていた。
縋るように片腕を伸ばす。ハジは力強くその手を取った。
「…小夜」
低い声で小夜の名前を呼び、きつく抱き締める。
どちらからとも無く唇が重なると、ハジは途中までで留まっていたファスナーを下ろし、小夜のスリップを肩から下ろし、ブラジャーのホックを外す。放置されていた形の良いバストを直に掌に包み込むと強弱をつけて揉みしだき、やがて僅かに焦れたような性急さで小夜の体を抱き上げた。
「あ、…ハジ…待って」
「小夜…」
強引に促されるままに、小夜は洗面台の前に立たされ、鏡に映りこむ自身の乱れた姿を否応無く目の当たりにした。
とろんと潤んだ瞳はやや赤みを帯び、乱れた髪が額に落ちかかっている。
細い首には華やかな真珠のネックレス、そこから続く滑らかで華奢な肩のライン、しかし先程まできちんと着こなしていたドレスは見る影も無く乱され、スリップやブラジャーまでが剥ぎ取られていた。豊かなバストは両腕に押し潰される様に更にボリュームを増し、その先端は薔薇の蕾のように赤く屹立していた。
背後から腰を押し付けるように、寄り添う愛しい男の姿に全身に血が巡り、じきに彼を受け入れるであろう…その秘めた部分にきゅっと緊張が走る。
「…や、いや…」
「小夜、腕を…」
促されるままに、小夜が洗面台に両腕を着いて体を支えると、背後からハジの力強い腕が細い腰を抱いた。
「え…そんな、…ハジ?待って…」
贅沢なフリルを跳ね上げるように、ハジがドレスを捲り上げると、溢れ出した蜜が音も無く小夜の太股を垂れてゆくのが分かる。
再び、背後に立つハジの指先が小夜の双丘の狭間を潜り前に伸ばされると、十分に解れたその花弁の中心にゆっくりと侵入を始める。
「ひゃ…ん」
長い指が小夜の中に埋められると、小夜の唇からは悲鳴と、それに続き甘い喘ぎが零れた。
「ああ…ん。ん…ん…」
後ろから両足の間に手を差し入れられ、普段は触れる事の無い部分にまで刺激が及ぶ。
羞恥と共に湧き上がってくる快感。
内部を掻き混ぜる指が次第に物足りなくなって、ついに小夜は懇願した。
小夜の体の中にぽっかりと空いた隙間を、彼に埋めて欲しい。
「…お願い。……ハジ、おかしくなりそう…。ハジが…欲しい…」
首を捻る様にして、唇を求める。
「…小夜、…どうして欲しいのです?…小夜…言って……」
「…ハジが…欲し…入れ…て…」