「ずるい。…ハジも…」
まだ女と呼ぶにはあどけない表情で、小夜が言い募った。
ハジの上に圧し掛かる様に両脇に腕をついて、肌蹴たパジャマの間からたわわに実る豊かな乳房が魅力的に揺れてハジを誘っている。
思わず指を伸ばしそうになる誘惑に耐えて、ハジは『何がです?』と嘯いて見せる。
 
小夜はハジがまだきちんとパジャマを着込んだままでいる事がずるいと言っているのだ。
かと言って、強引にハジの胸元のボタンに自ら指をかけて外す勇気はないようで…。
しきりに唇を尖らせて、ハジをじっと見詰めている。
さらさらと落ちかかる髪が揺れる。
 
「…ハジも…脱いで…?」
「脱がせてくれますか?」
 
小夜の訴えに、すかさずそう切り返す。
切れ長の瞳を、ゆったりと細めて微笑んで見せる。
小夜は『うっ!』唇を噛んで恨めしそうに困って見せながらも、躊躇いながらハジの胸元に指を置いた。
今更初めてでもないと言うのに、小夜はいつまで経っても初々しく…恥ずかしがり屋だ。
今時の女子大生と言うものをハジは良く知りはしないが、それにしても純情な部類なのだろうと思う。
しかし、今夜に限って…珍しく自分からハジの上に圧し掛かる積極ぶりを見せていたのだ。
それもそろそろ限界だろうか…。
小夜は震える指で一つずつハジのボタンを外した。
両手を使う為に、否応なくハジのウェストの上に馬乗りの姿勢だった。既にパジャマのズボンは脱ぎ捨てている。
白いレースのあしらわれた普段使いのショーツが、薄い生地越しに小夜の生々しい熱をハジに伝えていた。
滑らかな太股がぎゅっと腰を挟み込む。
小夜は果たして自覚しているのだろうか…。
今はハジのパジャマを脱がす事に意識が集中していて、きっと客観的に自分がどの様な姿で男の眼に映っているかなど考えても見ないのだろう…。
そうでなければ、小夜がこれ程までに大胆になれる筈はなかった。
彼女の積極的な態度が嬉しくない筈はない…しかしこれでは生殺しだ。もたつく小夜の指先がまどろっこしい。
 
やがて、ハジの白い胸を露わにすると小夜は思い切った様にその胸元に口付けを落とした。
柔らかな二つの乳房がプルンと揺れて、その先端が肌に触れると…ハジはとうとう堪え切れずに小夜の細い腰を両腕で抱き寄せた。
「ん…やん…」
ぎゅうと押しつけられる柔らかな感触。
身動きを封じられて、小夜は小さく抗議の悲鳴を上げた。
「…ハジ、離して…。これじゃ…何も…出来ない…よ」
間近で訴える顔からは今にも火が噴きそうだ。真っ赤に染まった頬が彼女の羞恥を物語っていると言うのに…今夜に限って小夜は一体どうしてしまったのだろう。
いつもならすぐに降参して、ハジの腕に全てを委ねると言うのに…この姿勢で『何も出来ない』とは…。
小夜は一体何をしてくれるつもりなのだろう…と、興味深く小夜を見上げた。
しかしもう、その先を欲して彼のそこは下着の中からはみ出してしまいそうな勢いであったし、このまま小夜が上になったまま、中途半端に焦らされる様な事があれば、情けなくも未挿入のまま達してしまいそうだ。
何としてもそれだけは避けたいと思うけれど、果たして…こんなにも小夜を愛している自分が…いつまでこの余裕を保てるだろう…。
「…小夜。一体何をしてくれると言うのですか?」
「……たまには、……襲ってみませんか?って…この間言ってたでしょう?」
…確かにそんな事を言った記憶があるだけに、ハジは仕方なく黙り込んだ。
「…………………。…貴女から、襲ってくれるのですか?小夜」
「………ぅ、……うん」
ううん…だか、うん…だか解かりにくい返事を返して、小夜はもう一度ハジに唇を落とした。
覗き込むようにして、唇を重ねる。
つまり、この状況は小夜なりに自分を襲ってくれているのだと、やや納得もする。しかしどうして急に?
あの晩ですら、どうにもこうにも…何も出来ず結局はハジがいつもの様に小夜を心地良くする事に終始した。
勿論、ハジはそうする事で自分もまた蕩けそうな快感を味わったのだ…。
小夜は丁寧にハジの唇に舌を差し込んでは懸命に絡みついてくる。
細い腰を支える様に添えた掌で、ハジは今や羽織っているだけの小夜のパジャマのシャツを捲り上げた。
腕を伸ばし、わき腹から背中の方にまで優しく掌を這わせると、小夜は堪え切れない様に口付けを離して背をしならせた。
「嫌…。駄目…」
以前、初めて触れた時の反応はあまりにも大きくて…最初はくすぐったいのかと思っていたけれど、どうやらそれだけではないらしい。小夜の体はどこもかしこも敏感で、背中も重要な性感帯の一つなのだ。
「…駄目?私から貴女に触れてはいけないのですか?」
「………そう言う事じゃなくて…。…そんな風にされたら、何も…」
出来なくなってしまうと言いたいらしい。
しかし、その先をどうして良いのか解からなくなってしまったのか…小夜がハジの上で固まっている。
理由はどうあれ、そんな小夜の態度をとても嬉しく思いながら…しかし悠長な事はしていられなくて、ハジは伏せた小夜の顔を掌で上げさせた。
すぐ間近で覗き込んで、言い聞かせる。
「…好きにして下さって構わないのですよ。……貴女が心地良いと思う方法で、私に触れて下さい」
「……ハジ。……私は、ハジを気持ち良くしてあげたいんだよ?」
「……ですから。貴女が気持ち良くなる事で、私もまた気持ち良くなれるのですよ…」
小夜はそれ以上何も云わなかった。
普段、ハジがそうするように…耳元から首筋をゆっくりと唇で辿ってゆく。
ぎこちない愛撫は生殺し以外の何物でもなかったが、それでもそうする事で小夜が満足できると言うのなら耐えるしかない。
小夜の髪が擽る様に肌の上を滑り、次第に下に降りてゆく。
胸元まで辿り着くと、小夜はちゅっと音を立ててハジの小さな乳首に口付けを施した。
「ねぇ…、男の人も…ここ気持ち良い?」
「ええ、しかし……女性ほどではないと思いますよ」
一つ口付けを落とす度に…どこか心配そうに一つ一つハジの反応を伺う様にして、覗き込んでくる。
「ハジは…どこが気持ち良いの?」
そんな問いに答えようもない。ハジは反対に問い返した。
「小夜は?」
「…………」
同じく答えようとしない少女に、ハジは微笑んで指を伸ばした。
「ここは?…さっき、男の人も?…と訊いたでしょう?」
それはつまり小夜が心地良く感じている事に他ならない。
ハジの指先が揺れる乳房に触れた。先端を指先でそっと弾くと、小夜の唇から声にならない悲鳴が零れる。
「…んゃ………」
「……気持ち良い?」
「……ん。…あ…あぁ…。駄目…今日は…私…が…」
してあげたいの…懸命にそう訴える小夜に、ハジは渋々再び主導権を渡した。
けれど、相変わらず小夜はどう男に奉仕して良いのかが解からないのだ。
「小夜…。…目を閉じて。もう頭で考えるのは止めて下さい…」
「……ハジ」
どちらがしてあげる…なんて本当はどうでも良い話だ。
何よりハジにとって、セックスは小夜と二人でするものなのだ。
今までだって、ハジが主導権を握っていようが…ハジの思い通りになど一つもなる事はない。
小夜の魅力はそれほどまでに彼を虜にして、狂わせるのだから…。
すっと伸びた指が小夜のショーツの上から丸いヒップのラインを撫でた。
やん…と小夜が腰を浮かす。
反対の手を前から潜り込ませると、薄い布地の上から小夜の割れ目を指先でなぞる。
ショーツはもうぐっしょりと濡れている。
無理に脱がせるような真似はせず、ハジはするりとその細い布地の脇から長い指を差し込んだ。
暖かく滑った感触がハジの指先を包み込む。
小夜は唇を噛んでその刺激に耐えていた。
「小夜…もうこんなに濡らして…」
「……そんな…」
小夜だって本当はもう欲しくてたまらない筈なのに…。
どうして今夜に限って…自分がしてあげたい…だなんて…。
そんな疑問がハジの欲求に尚更火を点していた。
長い指で器用に小夜の内部をかき回しながら、ハジは自分の中に潜むその欲求の深さを感じていた。
中途半端に煽られたせいで、小夜を相手にいつもは抑え込んでいるそれがむくりと首をもたげている。
ハジは性急に小夜の内部から指を抜いた。そうして小夜を抱き締めて体を起こすと、有無を言わさず小夜の体の向きを変えさせる。逆らえないまま、ハジの眼の前にお尻を向ける事に小夜が戸惑わない筈はなかった。
「嫌…こんなの駄目…。ハジ…お願い…!恥かしい…から…」
「…どうして?…私はもう貴女の体の隅々まで知っていますよ」
そう言って、ハジは小夜の腰をがっちりと掴んで拘束したまま再び背後に倒れ込んだ。引き寄せられ、小夜はちょうどハジの顔面を跨ぐ形になる。
「腰を落として…」
言われるまでも無く、小夜の意思とは関係なくハジの腕が小夜を引き寄せる。
濡れたショーツの上から、ハジの舌先が小夜を舐め上げる。
足を開いているお陰で、僅かに開かれた襞の間をハジの舌先が辿ってゆく。
「や…あっ!!…あ…ふ…」
嫌…確かに唇からはそう拒絶の言葉が零れると言うのに、小夜はその濡れた薄い生地を通した愛撫を心地良く、そして物足りなく感じている。
本気で拒絶するならば、自分が上になっているのだから逃げられない事はないのかもしれない。
しかし恥かしいと思う事が、またどこか小夜を興奮させている事も確かだ。
小夜は嫌々と髪を揺らして見せながらも、ハジの与える愛撫の前に理性がもろく崩れてゆくのを感じていた。
いつもそうなのだ…ハジの手にかかると自分はどうしてこう…。
そんな情けない思いが小夜の中で交錯した。
ハジの舌が執拗にそこを舐める。いつしか腰を拘束していた腕は…もう小夜が逃げない事を確信したのか…解け、舌と共に小夜の股間を這っていた。
「……や…ぁっ!!」
指先が布地の隙間から忍び込んで小夜の敏感な突起を弄り始めた。舌先もまた器用にショーツを避けて小夜の内部に差し込まれている。
「…あ…あんっ。……や…ぁ」
溢れた蜜がたらりと太股を滴ってゆくのが、はっきりと感じられた。
「小夜…」
愛しげに名前を呼ばれる。
「小夜…。脱がせて…、小夜も…」
してくれると言ったでしょう?
小夜がぎゅっときつく閉じた瞼を上げると、すぐ目の前にハジの股間があった。
まだきちんとパジャマを身につけたままで、一部の隙もないそこは布地の上からもはっきりと認識できる程大きく固くなっている。
脱がせて…と言われても、流石に上着とは訳が違った。
けれど、自分がハジを気持ちよくしてあげたいのだと強く思う小夜は、戸惑いながらもそっと彼のウェストに指を掛けた。ハジの愛撫が止む。
ハジもまた息を飲んで小夜を待っているのだ。
そう思う事で、小夜は勇気を振り絞ると何とかそっとハジのパジャマのズボンを太股まで下ろした。
 
後になってみれば、それから先の事はハジも小夜も、無我夢中だった。
 
何をしたのか…と言う記憶が無い訳ではない。
小夜の指が恐る恐るハジの下着を下ろし、今までにない程大きく強度を増したそれが外気に触れる。
望まれるまま、小夜はそっと指先でハジに触れた。
小夜を愛していた口付けが止み、下の方から甘くて苦しげな…忙しない吐息が聞こえる。
恥かしかった。しかし小夜がそうする事でハジが感じてくれているのだと思うと…羞恥の極みである筈なのに、小夜はこれ以上ない程嬉しくて、いつしか懸命に指を上下し…そして夢中でその先を唇に含んでいた。
初めて触れるハジのそれは大きく逞しくて…けれど想像していた様に気持ちが悪い訳ではなく…むしろ愛おしかった。いつも、小夜を気持ち良くさせてくれるハジのそれ。
一度触れてしまえば、まるで開き直りの様に…小夜はただただ熱心に舌を這わせた。
どうすればハジが気持ち良く感じてくれるのか…解かる筈もなかったけれど、ただ小夜に出来る事はその形状を確かめる様に丁寧に舌を這わせる事ばかりだった。
とても全部を唇に含む事は出来なかったが、それでも、何とか先端からを飲みこんでゆく。
どうして良いのか解からない。それでも小夜は本能の様にそれを舌と指とで扱き続けた。
やがて、ハジが小夜の愛撫を制止する。
「小夜…もう離して…」
「…っあ、待って…ハジ」
もう少し…。
ハジは体をずらすと巧みに小夜の下から抜け出し、戸惑う小夜を抱きあげる様にして、シーツの上に横たわらせていた。
「あのままでは、貴女の口を汚してしまいますよ…」
「…よ…汚す?」
その意味を確かめる間もない程、ハジは素早く小夜の両足から可愛らしいショーツを抜き取った。
一刻の猶予もならない…そんな性急さで小夜の両足を抱え上げる。
彼を受け入れる姿勢のまま、強く抱き締められた。
彼の濡れた先端が、小夜の膣口を探っている。
「…小夜」
思わず体中の力が抜けてしまいそうなほど、ハジが甘い声で囁いた。
こんな時、ハジの表情はとても真摯だ。そうして潤んだ青い瞳に真っ直ぐに見詰められると…小夜は蕩けそうな意識の中で…ハジに身も心も愛されている事を実感する事が出来る。
彼を受け入れて、彼が動き出せば…直に何もかもが解からなくなってしまう。そんな忘我の瞬間も、小夜にとっては幸せな時間だけれど、こうして互いに見詰め合えるこの僅かな瞬間が小夜は好きだった。
「…っあ、あぁ…ん…。…ハジ」
ゆっくりとハジが小夜を満たしてゆく。
大きなものが小夜を優しく貫いた…いつもなら小夜の様子を伺う様に少しだけ間を置く彼が、駆り立てる衝動に逆らい切れない様にすぐさま腰を揺らす。
「や…やん。…あ…あぁっ…!!」
小夜自身も、知らず焦らされていたのだろう…ほんの少しの刺激にがくがくと全身に震えが走った。
彼のものが小夜の奥を突き上げる度、ぶるぶると逃げ出したい様な快感が小夜を貫いて行く。
「小夜っ…」
「駄目っ…駄目っ…!…おかしくなっちゃう…ハジ…」
救いを求める様に強く男の背中にしがみ付くと、ハジは尚更強く小夜を揺すり上げた。
「すみませんっ…小夜。…私も…もう…」
これ以上持ちません…と、ハジが耳元で囁いた。
 
いつも、散々長い時間を掛けて小夜を愛してくれるハジが、そんな風に音を上げるのは初めてで…。
強い快感に全身を攫われた小夜がその理由を突き詰めて考えられる筈もなく、やがて二人は共に上りつめた。
 
ぐったりと気だるい快感の余韻に身を任せて、ベッドの上できつく抱き締め合う。
ひとまずは想いを遂げて、満足し切った小夜がとろんと今にも眠りに落ちそうな瞳でハジを見上げていた。
華奢な体を腕の中に閉じ込めて、ハジは漸く燻っていた疑問を小夜にぶつけた。
 
「…今夜はどうしたと言うのですか?…いつもより貴女が積極的なので…どうしようかと思いました…」
小夜はぼんやりとしていた瞳をやや大きく見開いた。
まさか、そんな事を問われるとは思っていなかったのだろうか…。
「………駄目?」
「駄目ではありませんよ…。とても…嬉しく思いました。…いつも、私が欲するばかりで…貴女は私程にセックスに関心が無いのかと不安に感じる事もありましたから…」
いつもいつも、恥じらうばかりの小夜はとても可愛らしいけれど、本当は…小夜はしたくないのに自分が無理をさせているのではないかと言う素朴な不安は常にハジの心にあった。
小夜の体が感じ易いばかりに、そう持ち込めば彼女が拒めない事は解かり切っている。
「…そんな事、ないよ。……いつも、ハジに気持ち良くして貰うばっかりで…私。…私も、ハジを気持ち良くしてあげたいって思ったの…それだけ…」
そんな可愛い事を言う小夜の額にそっと唇を押し当てる。
「ありがとうございます…」
でも本当にそれだけだろうか?
それだけで?
本当にそれだけで、いつも素直にされるがまま…恥じらってばかりいる小夜が?
まさか本当に自ら触れてくれるとは思っていなかったし、指で触れるばかりか…。
小夜にしてみれば、相応の覚悟があっただろうと思うのだ。
その瞬間の事を思い出すと、もう一度体に熱がこもり始める。
ハジは節操のない自分を戒める様に大きく息を整えた。
 
「本当にそれだけ?」
そして、念を入れる様にもう一度問い返してみる。
じっと見詰めるハジの視線に耐えかねて、小夜の視線が宙を泳いだ。
素直な彼女はまるで嘘がつけない。
「…小夜?」
「…………」
「何かあったのですね?」
小夜はハジの胸にぎゅっと顔を埋めて、しばらく渋っていたけれど…やがて観念したように口を開いた。
「…ハジはいつも優しいけど…。嫌われたくないって思ったの…」
全く意味が通じていない。
その先を促す様に、ハジは小夜の名前を読んだ。
「小夜…」
それでは答えになっていません…と。
「…あのね。大学の友達が、皆で……その…。……いつもマグロでゴロンってしてるだけだと、マンネリになって…男の人はすぐに飽きて…嫌われちゃうよ…って話をしてて…」
「…は?………小夜も、そんな話を?」
まさか小夜が外でそんな話題に加わるとは想像も出来なかったけれど、女の子ばかりが集まればそんなものなのだろうか…。
「ううん…。聞いてただけ…聞いてただけだけど…。でも、私…いつも、何も出来ないし、…嫌われたくないって…」
なるほど…。
ハジは複雑な思いで愛しい恋人を見詰めた。
「それで、頑張ったのですね?」
「…ぅん」
気不味そうに小夜の唇が尖っていた。照れ隠しの様に真っ赤な頬が少し膨らんでいる。
「…飽きる飽きないはともかく…。小夜がそんな風に思って努力してくれた事はとても嬉しく思いますよ…」
「嫌いにならない?」
 
………ああ、もうなんていう事だろう…
 
小夜がそんなある筈もない様な事で不安を感じていたなんて…。
そんな不安を小夜に植え付けた彼女の同級生達にも腹立たしく感じる半面、感謝するべきなのかもしれないとハジは先程からの複雑な思いを拭う事が出来ない。
 
しかし。
そんな誤解だけははっきりと解いておかなければ…。
「…私が小夜に飽きたり、嫌いになったりする筈がないでしょう?」
「……本当に本当?ハジ…」
でも、未来の事は解かる筈がないじゃない…とでも言いだしそうな不安な表情で小夜がもう一度ハジを見る。
彼女は本当に素直で…嘘をついたり、作戦を練ったりそんな事は全く苦手なのに…、その癖なんて疑い深いのだろう…。
ハジは小夜の不安を黙らせる様に強く唇を奪った。
そうして、今まで何とか気付かれない様に、体の向きを変えて誤魔化し続けていた下半身を小夜のむき出しの太股に押し付ける。
「きゃ…!」
思わず小夜の唇から零れる悲鳴を、ハジは唇を追いかける様にしてもう一度塞いだ。
自然に絡み合う舌先はいつしか口付けと言う枠を超え、セックスそのものの様に濃厚で…。
「…貴女がそれに納得できるまで、今夜は離しませんよ。…小夜」
細い体を組み敷いて、耳元に囁いてみる。
「あ…ん。駄目…っ…ハジ!!」
慌てて非難の声を上げながら、小夜も強く拒む様子はなく…。
仄暗い明かりの下で、細い小夜の腕がゆっくりとハジの首筋に絡みつく。
 
やがて忙しない呼吸が寝室を満たし…甘い時間が再び始まろうとしていた。
 
                   〜Girls‘ Talk ・ 了〜

20100113
あけましておめでとうございます!
2010年、初っ端からエロ更新ですみません!正しく姫初めになってしまいました…。
この先の更新内容が思いやられます…。
そして、こんなハジと小夜たんと、私(ちゃっかり…)を嫌わないで下さいませ!!お願いします!!

だって…ハジ早過ぎるよ…ってそこかいっ??…でもまだ第1Rだから許して…。

このお話は、昨年末にKさんから頂いたイラスト&SSにお返しするつもりで書きました。
でもKさんにOK頂いて、なんか全然他にすぐ更新出来そうなものが見当たらないので、
アプする事にしてしまいました。

これは昨年末に書いた表の「仔うさぎの言い分」の後日談的エピソードで、ハジが「たまには襲ってみますか?」と
小夜たんに言った事と、彼女が大学のお友達の会話を聞きかじって、何とかハジに嫌われる事が無い様に…
何とか彼を気持ち良くしてあげたくて頑張ると言う展開なのですが、結果的に69と言う…(爆)

仔うさぎの小夜たんは特に純情設定なのですが、初めてのHも露天だったし…何だかこの先が思いやられる気が致します…。
ただ、本編の二人でこういうのを書く…よりは過去が無い分明るく書けるのではないかと思います。

まあ、色々と思うところはあるのですが、全て言い訳になってしまうので。

ま、そんな事もあるよね…と読み流して頂けたら幸いです。

ここまでお付き合いくださいまして、どうもありがとうございました。